海鳥の詩


     混声合唱組曲   海鳥の詩      更科 源蔵 = 作詩   廣瀬 量平 = 作曲

                          指揮 高瀬 新一郎  ピアノ 横溝 京子

                         
第45回定期演奏会 Ⅲrd STAGE

                          2014年6月21日 練馬文化センター大ホール

                                 

  

  

  

1.オロロン鳥

   オロロン オロロンとなけば 岩も もの言わぬ岩も オロロンと答える 切岸の 岩棚の 歯の上に いのちあたため 海を見る ウミガラス ウミガラス
   
     ふるさとは 岩の上 雨ふれば 雨にぬれ 陽が照れば 陽にやかれ 風ふけば 骨かれる  水平の落日に 胸は燃え 海 昏れれば 胸しづみ

              光をもとめ 南をしたい たどりつく ウミガラス オロロンとなけば 海も 海も岩もオロロンと答える



  

  

  

2.エトピリカ

   濃い霧にめしい 黒々と  波のどよめく オホーツク 風走る岩棚の 海を見 風をきく エトピリカ
   
        氷の臭いにしびれ ぎこちなく カタカタと翼をふるわせ 火を抱いて ゴーゴーと鳴る 荒潮に生命(いのち)をさぐる エトピリカ

              岩崖(いわがけ)の土穴の 幼い生命(いのち)にそうそうと 冠毛をなびかせ 目を見張り 霧にもめげずに飛ぶ限り 神はいる



  

  

  

3.海 鵜
 
   首をのばし 風をきき 首をちぢめ 潮をきく  蒼く寒く うねりうねる 親潮の キラキラと くずれただよう 銀のいろこ
      
   荒磯は 洗いくだけ 底しれず 行方も知れぬ 黒潮の 渦の濃霧は 鉛をのみ ドロロンとなる 鵜は啼かない 首をのばして 寒流をさぐり

                                                       首をちぢめて 暖流をきく
 



  

  

  

4.北の海鳥
 
   ふるさとは キラキラの 光散る 北の海 北の空 オロロン エトピリカ ケイマフリ 生と死は ろんろんと ゆれ動き ゆれ返す 深き海底
      
   ごうごうと 重く渦ず巻き 天にとどろく オーロラの たゆとう季節 空を行く 笛の音ににて 月の夜は 月にぬれ 胸いたみ 口ごもり 息をのむ

   みずかきの 冷たくしびれ 落日の 燃えゆく彼方に あかね色 花を夢みて 鉛色 波をけり 岩をけり 風を呼び どうどうの シタキに乗り 虹をくぐり

   雪を抱(いだ)く 雲となり 風にまかせ 天と地の 空と海との 人と神 一つにとける キラキラの 光の彼方 南天の 星を目指すか 北の海鳥



              ※「海鳥の詩」のこと


                  
            ※ 北の海鳥のこと

                  

           混声合唱組曲   海鳥の詩              更科 源蔵 = 作詩   廣瀬 量平 = 作曲

                                     指揮 高瀬 新一郎  ピアノ 横溝 京子

                                     第45回定期演奏会 Ⅲrd STAGE

                                     2014年6月21日 練馬文化センター大ホール